退職まで、残り3週間だったあの頃。
あの日の私の心境をひとことで表すなら、
驚くほど「清々しい」――その一言に尽きました。
それまでの私の人生は、「我慢」の連続でした。遅くに授かった三番目の子をひとりで育てるため、職場で何を言われても「生活のため」「お金のため」と自分に言い聞かせ、必死に頭を下げてきました。我慢、我慢、がまん……。それが当たり前の日常でした。
けれど、退職を決めたあの瞬間から。自分でも驚くほど、本来の「私」が顔を出し始めていました。
髪を切る。それは、過去の自分との決別。
心境の変化は、まず見た目に表れました。ずっと長かった髪をバッサリと切り、襟足を軽やかに外ハネに。しばらく放置していた白髪混じりの髪も、パッと明るい色にカラーリングしました。
鏡の中の自分が明るくなっていくにつれ、周囲の視線が変わるのを感じました。
🌸
「素敵!似合ってますね、一体どんな心境の変化ですか?」と笑顔で声をかけてくれる人もいれば――
🌫️
一方で、冷ややかな視線を送ってくる人もいました。
でも、どちらの反応もあの頃の私にはありがたいものに見えていました。変化に気づいてもらえているということだから。
「大きなお世話」という名の、他人の物差し
こんな言葉、経験ありませんか?
- 「58歳で、夫もいなくて、年金もまだ先なのに……」
- 「退職してどうするの?生活していけるの?」
- 「その年齢で、次の仕事なんて見つかりっこないのに」
人生の大きな選択をしようとしたとき、決まって誰かが「心配」という名の口出しをしてきます。そしてその言葉は、往々にして的外れで、余計なお世話で、そのくせなぜかグサッと刺さる。
以前の私なら、ひとつひとつの言葉に傷ついていたと思います。「やっぱり無謀なのかな」「私には無理なのかな」と、自分の決断を疑い始めていたはずです。
でもあの頃の私には、それらがすべて「その人自身の不安」を映し出している鏡のように見えていました。
他人の言葉が刺さるとき、それは相手の物語
「58歳で退職なんて無謀」と言う人は……
自分自身が「年齢」に縛られて生きています。定年まで我慢し続けることが「正解」だと信じているから、そこからはみ出す人を見ると不安になる。その不安が、口から出てくるのです。
「夫もいないのに」と言う人は……
ひとりで生きることを「不完全」だと感じています。誰かに依存しなければ生きていけないという価値観の中にいるから、ひとりを選ぶ私が怖く見える。
他人の言葉はほとんどの場合、
あなたへの評価ではなく、その人自身の内側の声なのです。
これに気づいてから、口出しされるたびに「ああ、この人はここに不安を持っているんだな」と思えるようになりました。傷つくのではなく、観察する。それだけで、ずいぶんラクになりました。
それでも刺さってしまうときの、私なりの対処法
とはいえ、頭でわかっていても感情は別物。傷つくときは傷つきます。そんなときに私がやっていたこと、少しだけご紹介します。
その言葉を「借り物」だと思う
刺さった言葉は、自分のものではありません。相手の価値観というフィルターを通して出てきた言葉です。「これは私のものじゃない」と心の中でそっと返してあげる。
反論しない、説明しない
「でもね……」と説明しようとすると、相手の土俵に乗ってしまいます。「そうですね」と笑顔で流す。エネルギーを使わないことが、一番の防御です。
自分の決断を書き出す
心がぐらついたとき、私はノートに「なぜ退職を決めたか」を書き直しました。自分の言葉で書いた理由は、他人の言葉よりずっと強い。
かつての私も、きっとあちら側の人間でした。誰かの選択に口出しして、自分の不安を紛らわせていた。だからこそ、今は誰の選択も責める気になれません。
もう誰かの物差しで自分の幸せを測るのは、
終わりにしようと決めました。
→ 職場いじめの対処法|人間関係に限界を感じて退職した私の体験談
私は、私を生き直す。――58歳から動き出した、小さな「根拠」たち
「根拠のない自信」と書きましたが、正直に言うと、少し根拠はありました。退職を決めてから、私は少しずつ動き始めていました。大きなことではありません。でも、ひとつひとつが「私、やれるじゃないか」という感覚を積み上げてくれました。
必死に子育てをし、泥をすするように我慢を重ねてきた私です。その経験があるからこそ、これからの人生は何が起きても「なんとかなる」という感覚が、日に日に強くなっていました。
執着を捨てたら、見えてきたもの
「執着を捨てる」というと、何かを諦めるイメージがあるかもしれません。でも私が感じたのは、その逆でした。
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安定した職場への執着を手放したら、自由が見えました。
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他人の評価への執着を手放したら、自分の声が聞こえてきました。
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「こうあるべき」という執着を手放したら、今この瞬間が輝いて見えました。
誰に何を言われても、
私の人生のハンドルを握っているのは私だけ。
軽やかになった髪をなびかせて、新しい一歩を踏み出す準備が整ったあの日。
私は、最高に元気な姿であの場所を卒業しました。
そして今、ここからが本番です。
あなたの話を聞かせてください
同じように、誰かの言葉に傷ついたり、年齢を理由に諦めかけている方がいたら、ぜひコメントで教えてください。あなたの話を聞かせてもらえると嬉しいです。


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