第一章 八か月あれば、間に合うと思っていた
退職したばかりの頃、私には八か月という時間があった。
失業保険を受け取れる、その間にブログを生活につながる仕事へ育てたいと思っていた。どうすれば形になるのか、どれほどの時間が必要なのかも、当時の私には分かっていなかった。それでも、八か月あれば何とかできるような気がしていた。
まずは記事を書くこと。記事が増えれば、いつか誰かに読んでもらえる。そう考え、目の前の一記事を完成させることに力を注いだ。
ブログを始めた頃の私は、本当に何も知らなかった。記事を書くことだけでも精いっぱいで、サイトの操作や仕組みについても、何をどうすればよいのか分からない。調べては試し、間違えては直す。その繰り返しだった。
必要だと思って追加した機能が、実際には不要だったこともある。何も知らずに記事のURLを変更し、そのままにしてしまったこともあった。あとから問題に気づき、元に戻したり、関連する箇所を直したりするたびに、多くの時間がかかった。
あの頃は、読者にどう読んでもらうかを考える以前に、記事を書き、ブログを動かすだけで精いっぱいだったのだと思う。
第二章 減った生活費と、増えていった焦り
退職後、私は暮らしにかかるお金を一つずつ確認した。支出を見直した結果、車のローンなどを含めた毎月の支出は、月十三万円ほどまで下がった。
数字が見えるようになれば、不安も小さくなると思っていた。しかし、実際は反対だった。退職直後よりも、今のほうがお金への不安は大きい。
退職したばかりの頃は、失業保険を受け取れる約八か月の間に、ブログを自分の仕事として形にしたいと思っていた。しかし、現在も形にはなっておらず、AdSenseにも合格していない。
十二月まで、あと四か月しかない。残された期間を具体的に数えたことで、焦りが急に現実味を帯びた。
以前、百万円を超える高額なブログ講座の説明を受けたとき、比較的短い期間で成果が出た受講者の事例を聞いたことがある。詳しい条件までは確認しておらず、今となっては説明の内容もはっきりとは覚えていない。
それでも、その話だけは心に残っていた。時間がたっても思うような結果が出ていない自分と比べ、私は遅れているのではないかと思うようになった。
けれど、誰かの事例と自分を比べても、私のブログが育つわけではない。焦りを感じたからこそ、私はようやく、ただ記事を増やすだけでよいのかを考え始めた。
第三章 三回目の不合格で、見る場所が変わった
約一か月前、AdSenseの審査に三回目の不合格となった。
その後、ブログ全体を見直して四回目の審査を受けたが、2026年8月6日に再び不合格の結果が届いた。
三回目の不合格を受けるまでは、記事を増やすことに意識が向いていた。
そこで初めて、自分が書きたいものだけではなく、読者の立場からブログを見ることにした。もし誰かがこのブログを訪れてくれたら、どこを見れば何が分かるのか。迷わず読み進めてもらうためには、何を整えればよいのか。
私は編集長であるAIと相談しながら、ブログ全体の構成を見直した。カテゴリーを整理し、記事同士をつなぐ導線を整え、初めて訪れた方にもブログの内容が伝わるよう、トップページも作り直した。
不合格という結果は、うれしいものではなかった。それでも、何度も審査に通らなかったことで、記事を書くことしか見えていなかった私に、別の課題が見えるようになった。
第四章 書くだけでは、仕事にはならなかった
ブログを仕事として育てることは、ただ記事を書き続けることではなかった。
読者は、何を知りたくてこの記事を開くのか。どのようなことで悩み、何を持ち帰りたいと思っているのか。以前の私にはなかった着眼点が、少しずつ増えていった。
私の経験を書くだけなら、自分のことだけを見ていればよかった。けれど、誰かに読んでもらうためには、その経験の中に、読む方が持ち帰れるものがあるかを考えなければならない。
同じ出来事でも、伝え方によって、誰かが自分の答えを考えるきっかけになる。
その先に何があるのかは、今の私にはまだ分からない。それでも、自分の経験を書き残すことだけに精いっぱいだった頃とは、ブログへの向き合い方が変わった。今は、読んでくださる方に何を届けられるのかを考えるようになっている。
第五章 私の経験を、正解にはしない
私の経験が、同じようなことで悩んでいる方の参考になればうれしいと思っている。
ただ、経験も考え方も、人によって違う。私の選択が、すべての人に当てはまるとは思っていない。自分とは違う考えを持つ方にも、一つの実例として読んでもらえたなら、何かを考えるきっかけになるかもしれない。
私は、自分の経験を正解として伝えたいのではない。悩んでいる方が自分に合った答えを見つけるための、判断材料の一つとして届けたい。
公営住宅での暮らしも、退職後のお金も、五十八歳から始めたブログも、私が実際に経験したことしか書けない。だからこそ、うまくいったことだけではなく、迷ったことや失敗したことも、事実のまま残していきたいと思っている。
第六章 結果を先に語らず、積み重ねていく
今、私の意識はブログへ向いている。
この先に何が待っているのかは、まだ分からない。だから、結果を先に語るのではなく、これから実際に経験したことを、一つずつ残していきたいと思っている。
焦りが消えたわけではない。それでも、記事の数だけを追っていた頃へは、もう戻らない。
誰かがこのブログを訪れたとき、必要な記事へ迷わずたどり着けること。そして、私の経験が、その方自身の答えを考える小さな材料になること。
書くことに精いっぱいだった私に、ようやく読者の姿が見え始めた。
この一冊を読み終えてくださり、
ありがとうございました。
人生の本棚に、
今日までの私を、そっと置いておきます。
ブログを始めた頃の実際の費用
WordPressもレンタルサーバーも知らなかった私が、ブログを始めるために最初に支払った金額は、次の記事にまとめています。


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